タイトル未定

オリジナル設定のマイ・アサルトリリィが中心です

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詳細は下の用語集にて

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My AssultLily設定『五島翠花』編

 

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キャラクタープロフィール

■名前
五島 翠花(ごとう すいか) 

■出身地
日本国 馬加郷(まくわり)
■誕生日
7月20日
■身長/体重
144cm/39kg

 

 

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■Who is "SUIKA GOTO"

  『グランツェンダー・グラナート』のレギオン創設者であった五島海松(ごとうみる)の妹です。

 百合ヶ丘女学院の学外特別履修生徒の身でありながら、七葉凜梨果(ななはりりか)の強い希望でレギオンに登録されました。
 現時点では特別履修クラスのメンバーですが、今後の活躍次第では来年度を待たずに編入できる可能性があります。

 元来明るい性格なのですが、最愛の姉を失ったショックが大きく、時々遠くを見つめてぼーっとしている事があります。
 中学時代からガールズバンド『ドリームウェイ』を結成していて、現在もプライベートでボーカルとギターを務めています。

 リリィとしてはそこそこ優秀ですが、経験が浅いため特長がありません。

 集団戦術においては器用貧乏のリリィとなってしまうので、所属レギオンでは『十腕形』と呼ばれる過保護なまでの重装備を背負わされ、前線ではなく後衛のバックゾーンに配置されています。
 本人はアタッキングゾーンでもやっていける自信があるので、この扱いはレギオンマスターから信頼されていないのだと受け止めており、待遇に不満をもっています。

 

 

 

 

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■She's Autobiography

 五島の家はほぼ姉妹だけの生活だった。
 父は起業家であり会社の代表だったが、対ヒュージ分野での新興業界であった為、社会に認知される為にはまだ無理をしなければならない時期だった。

 社長の家とはいえ、父が家族の為に使える金は決して多いとは言えず、生活はあまり豊かとは言えなかった。

 母が早くに亡くなり、家の用事は姉妹が分担して行うようになった。
 社交的で何事もそつなくこなす姉の海松(みる)と、元気で奔放な妹の翠花(すいか)。
 帰宅の遅い父を待ちながら、姉妹で仲良く暮らす日々が続いていた。

 そんな情景が変わったのは、姉の海松(みる)が全寮制の百合ヶ丘女学院の中等部に入ってからだ。
 姉の海松は家庭の状況を鑑みて、12歳で自らの進路を決めた。

 自分が優秀なリリィになれば父親の名も業界に知られるようになる。五島家が有名になれば会社の認知度も上がり、会社が知られるようになれば父の負担も減って引いては家族の為になる。

 妹の翠花は寂しかったが、姉から丁寧に説明してもらった事で納得できた。
 自分とそう変わらない年齢なのに、寂しくても家族の為に頑張る、そんな姉がとても格好良く見えた。

 翠花も、優秀な姉を見習って百合ヶ丘女学院のリリィを目指そうと思った。

 だが、父は翠花を家に留めた。翠花が居なくなってしまえば、五島の家は父ひとりになってしまうからだ。

 父は翠花まで寮生にしたくなかった。代わりに中学校の進学祝いになんでも好きなものを買ってくれるといわれ、翠花はギターを買ってもらった。
 翠花は友人とコンビを組み、中学でもう1つの夢であったガールズバンドの結成を果たした。

 

 

 

 

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 翠花(すいか)は良い友人に恵まれたことで、寂しいながらも充実した毎日を送る事ができた。
 そんな翠花にとって、毎日の楽しみのひとつが、姉とのメールのやり取りだった。

 自分が学校生活や音楽の事について書いて送ると、姉からは百合ヶ丘女学院の中等部での日々を綴った日記のようなものが送られてきた。
 あまり踏み込んだ内容ではなかったが、姉は中等部でも特別なリリィとなっているようだ。

 時に英雄であり、時にはアイドルのようにもてはやされるのが一流のリリィだ。
 
行間を読み解くと、姉の海松(みる)は早くもそういう存在になっているようだ。

 いつからか、姉はただ優秀という言葉だけでは片付けられない、尊敬に値するほどのカリスマ的人物に変わっていた。
 身内からだけでなく誰からも一目置かれる姉は、翠花にとって誇りだった。

 
 翠花が中学二年生になり、姉の海松が高等部に入学する頃には、三年の月日が流れていた。
 三年という歳月は、姉妹の絆を弱めるには足りなかったようだ。

 中学二年生の翠花(すいか)は姉離れをするどころか寂しさを募らせ、すぐに姉の後を追いかけたくて堪らなくなっていた。

 時々帰宅する姉にリリィとしての訓練を教わると、バンド練習のない時にはリリィとしてトレーニングを積極的に行うようになっていた。
 リリィとしての翠花は、すぐに姉に褒められるほどの腕前に上達した。

 しかし、姉はその遥か遠く先をいっていた。
 その圧倒的な強さと存在感は、常人の域を超えているとまで言われていた。
 天賦の才と努力の継続。そして才能では片付けられないほどの胆力。

 姉の海松(みる)は人の上に立つ逸材で、リリィとしても完璧に近かった。

 リリィの卵だった翠花は、トレーニングやメールのやりとりで姉の凄さに触れるにつれ、憧れの感情がますます強くなっていった。

 

 

 

 

 

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 翠花(すいか)の姉である五島海松(みる)は、高等部で風紀委員の職についていた。

 翠花が聞いた所によると、意外なことに百合ヶ丘女学院高等部には明文化された校則がないそうだ。(※ノベル版11ページより)
 もちろん最低限の決まりはあるが、極めて常識的な範囲に限られ、それ以外ほとんどの約束事が"慣習"という形になっているらしい。
 もちろん、規則が緩いからといって無法行為や自由奔放な振る舞いが許されているわけではない。

 ゆえに、風紀委員の仕事はリリィたちに強大な力に見合う責任を自覚させ、己を律する正しい心と学園に秩序もたらすのが使命である。
 誤った力は時に取り返しのつかない悲劇を巻き起こす。そうならないよう生徒の手本となり、自棄になりそうな生徒に手を差し伸べたり、暴走しそうな生徒を戒める役割を負う。
 校則厳守の学校でルールを守らせるのとは違い、百合ヶ丘女学院高等部の風紀委員の仕事は誰にでも務まるものではない。
 生徒から憧れや尊敬を受ける人物でなければ、風紀委員の職務は遂行できなかった。

 二年生になった海松(みる)は、風紀委員会を司るジークルーネ旗下の八部衆として、秘密警察のように学校の風紀をチェックする役目を任された。
 その実績が評価され、次期ジークルーネの候補として生徒会長選挙に推薦されると、今度は名門レギオン『夕凪の丘』からレギオンマスターの座を委譲された。

 『夕凪の丘』からすれば、五島海松が次のジークルーネになる可能性に賭けた格好だ。
 レギオンマスターになった五島海松は、百合ヶ丘女学院にひとつの勢力を築くまでに至っていた。

 

 

 

 

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 五島海松(ごとうみる)二年生の夏。
 戦闘の激化に伴い、足を痛めた海松(みる)は機動力が低下していた。

 そこで海松はスタイルアルムマンテルを発注し、自身の機動力を捨て、攻撃と防御力に特化したリリィに生まれ変わる決断をした。

 『エンガンチェ』である海松の運動量が落ちたため、戦術の上で、高い機動力を持ったヴァルキリー(空戦ユニット装備型)タイプのリリィがどうしても必要になった。
 そこで、海松(みる)はある一年生をレギオンに招待する事にした。

 海松が目をつけた一年の名は『七葉凜梨果』(ななは りりか)といった。
 百合ヶ丘の中等部上がりで、ツワモノ揃いと言われた今年の一年生の中でも常にトップを競っているリリィだ。

 ただ、才能溢れるリリィに共通して、凜梨果(りりか)もエゴが強かった。
 凜梨果は自分に相応しいレギオンを見極めるために、仮入隊であちこちのレギオンに所属しては、協調性を欠いた言動でひと悶着を起こしていた。
 厄介な事に、並のリリィでは凜梨果に歯が立たず、二年生・三年生の成績上位者でようやく互角に渡りあえるという有様だった。
 そのため、殆どの先輩はローカルルールを持ち出して説得するか、数の力で押さえつけるという手段でしか凜梨果を従わせることができなかった。

 ジークルーネ旗下の八部衆のひとりであり、『六臂爆流(ろっぴばくりゅう)のエンガンチェ』の異名を得た五島海松と言えども、その例外にはなれなかった。
 海松の全力を持ってしても、七葉凜梨果を完全に屈服させるのは不可能だった。
 模擬戦闘で勝利する事はできるが、ポイント判定でしか勝利できず、テクニカルノックアウトでの勝利が掴めなかった。下手にKO狙いで行けば、返り討ちに遭う危険さえあった。

 海松にとって、下級生から突き上げられるという経験は初めてのものだった。それだけ凜梨果の戦闘スタイルは独創性に富んでいて、フレッシュで先が読めないものだった。
 凜梨果の才能に惚れ込んだ海松は、とにかく凜梨果と話しあい、相互理解を深めようとした。

 当時の凜梨果は、成績トップを競うプレッシャーから、苦境に陥っていた。
 同級生には優秀なリリィがたくさんいて、その中で成績トップを競うのは並大抵の苦労ではない。

 凜梨果には、自分の力を存分に生かせて、なおかつ優れた成績を収める事のできるレギオンが絶対に必要だった。

 そういう状況から判断して、凜梨果はしぶしぶ『夕凪の丘』に加入申請を提出した。
 海松は喜び、パーティを開いて凜梨果をレギオンに迎え入れた。

 

 

 

 

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 一年生である七葉凜梨果(ななは りりか)が『夕凪の丘』に入った秋の事だった。
 多くのリリィが経験するようにこの凜梨果(りりか)も成長の壁にぶつかっていた。

 ただ、凜梨果の場合は伸び悩むよりも事態は深刻で、魔力が不安定になり、日によってはスキラー数値が大幅に下がることもある、いわゆる魔力不順に陥っていた。

 魔力不順により個人成績トップから転落した凜梨果(りりか)は、総合成績で上位をキープするためには、レギオンの実績で点数を稼ぐしかなかった。

 そこで、五島海松(ごとう みる)は凜梨果を全面的にサポートする事に決めた。
 次期生徒会長ジークルーネの座を巡る選挙戦を休止する決断を下し、根回しや選挙活動の時間をレギオンの活動に充てることを決めた。

 当然ながら、レギオンメンバーからは猛反発を受けた。
 海松が次期ジークルーネになればレギオンメンバー全員に大きな恩恵がある。
 選挙の結果次第でレギオンの知名度も予算も大きく変わってくる。
 何を置いてもまずは選挙活動に集中すべき、という声が大半を占めた。

 凜梨果もさすがに自分の所為で迷惑をかけられないと遠慮したが、海松は誰がなんと言おうと考えを変えなかった。
「ジークルーネの候補は他にもいるわ。だけど、仲間の凜梨果を救えるのは私たちしかいないでしょう?」「困っている仲間を置きざりにして選挙戦を続けるリリィが、本当にジークルーネに相応しいと思うの? 私はそんな生徒会長になるつもりはないわ!」

 不毛な会議が続き、二人のメンバーがレギオンから脱退した。それでも収まりがつかず、次に凜梨果の脱退が決まり、最終的には凜梨果の後を追いかけるように海松自身がレギオンから脱退するという最悪の結末を迎える事になった。
 結局、この内輪揉めが悪い噂となって広まり、五島海松はジークルーネの生徒会長選挙でも落選した。

 ただ、海松にとっては全て覚悟の上だった。だから妹の翠花にも他の誰にもこの件について何も言わなかった。
 『夕凪の丘』から独立した海松は、意見を同じくする仲間と共に魔力不順の凜梨果を支え、仮登録のレギオンを立ち上げて、ギガント級ヒュージの撃墜数で凜梨果の成績をサポートする事にした。

 ジークルーネの選挙戦を諦め、所属レギオンを捨ててまで、自分を支えようとしてくれた海松に凜梨果は感謝した。
「人を支えること、人から支えられること。それがどれだけの価値を持つのか、わたしは貴女から学びました」「わたしは貴女のシルトになりたい。どうかお姉さまと呼ばせてください」と海松にそう伝えた。
「凜梨果、あなたをレギオンに誘ったのは私だもの。最後まで付き合うのは当然よ」「人は良くも悪くも影響しあうもの。これからは二人で仲良くやりましょう」
 海松はシュッツエンゲルの誓いを受諾し、二人は固い絆で結ばれた擬似姉妹になった。

 そして、この二人が中心となり、新レギオン『グランツェンダー・グラナート』が設立される事になる。

 

 

 

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 メールを受け取った翠花(すいか)は複雑な気分になった。
 七葉凜梨果(ななは りりか)ほどのリリィを心酔させる姉に尊敬を強くしたものの、同時に海松(みる)のもうひとりの妹に対してやきもちを焼くようになった。

 来年度には翠花も高等部に上がる。
 今度ばかりは、父がなんと言おうと百合ヶ丘女学院に入学しようと決意し、バンド活動と並行して日々のトレーニングに励んでいた。

 努力の甲斐あって、翠花の能力は順調に開花していった。姉からは百合ヶ丘女学園に入っても十分やっていけるだろうと合格のお墨付きをもらった。

 受験勉強に加え、家の用事にバンド活動。そしてリリィとしてのトレーニング。
 この頃の多忙な翠花を駆り立てていたのは七葉凜梨果への嫉妬だった。
 翠花がこうしている間にも、擬似姉妹の契りを結んだ二人は、昔の自分たちのように仲良くしているに違いない。
 想像すると感情が抑えられず、焦る気持ちをトレーニングにぶつける事で日々の不安を解消するしかなかった。

「くじけそうだけど、翠花は負けるわけにいかないの!」
 姉に認められるためには七葉凜梨果以上のリリィになるしかない。そう気持ちを強くして、厳しいトレーニングを毎日ひたすらこなし続けた。

 年末に帰宅した姉からは成長を褒められた。気を良くした翠花が「翠花は、お姉ちゃんのシルトの七葉凜梨果にも勝てる?」と聞いたところ「あと二年もすれば追いつくかもね」と言われた。
 そう言われたとき、翠花の目の前は真っ暗になった。

 毎日忙しい中、全力でトレーニングに打ち込み、成長の手応えを掴んでいたにも関わらず、七葉凜梨果に届くまではまだ途方もない距離があるのだと付きつけられた。

 翠花は「お姉ちゃんのばかっ!」と理不尽な言葉を姉に投げつけて、そのままトレーニングルームから飛び出した。

 休暇の明けた姉は寮に戻ったが、翠花はお詫びのプレゼントとしてアクセサリーを送ってもらった。
 翠花は「お姉ちゃんは何も悪くないよ……翠花の方こそ、ひどい事言ってごめんね」と電話で姉に謝ったが、その後も姉とは少し距離をとり、メールに対する返事も投げやりになってしまった。

 後から思えば、どうやれば二年で七葉凜梨果(ななは りりか)に追いつけるのか、翠花はありのままを受け止めて、素直にアドバイスを聞いておくべきだった。
 だが、翠花がその事に気づいた時にはもう遅かった。

 この出来事によって、翠花はどれだけ後悔してもしきれない、痛恨の念を抱えてしまうことになった。

 

 

 

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 そして、運命の日。

 芦ノ湖の戦いから五島海松(ごとうみる)は帰らなかった。
 遺体はまだ回収されていない。しかし、他ならぬ七葉凜梨果(ななはりりか)が姉の最期を目撃していた。

 この連絡を受けたとき、翠花にはどうしようもなかった。
 絶望という言葉の意味を刃物のようなもので突きつけられた気分だった。父親に連絡を取る事さえ出来なかった。

 できることは泣くことだけで、泣くこと以外に何かしなきゃと思っても、立ち上がるたびに暗闇に突き落とされるかのようになり、まったく何もできなかった。

 その日以来、姉からのメールが届くことはなくなった。
 代わりにどこでアドレスを知ったのか、七葉凜梨果からのメールが連日届くようになった。
『ごめんなさい。ごめんなさい。わたしに出来ることならなんでもするから――』

 翠花は返事ができず、文面を目で追ってはひたすら泣いていた。
 自宅には遺体の代わりに、海松の髪の毛の束と賞状に盾、勲章が届いた。
「お姉ちゃんの価値は、こんなものよりずっとずっと大きいのに! なんで誰もわかってくれないの!?」
 翠花にとって、姉の存在は英雄などという言葉では片付けられないほど大きなものだった。

 翠花はかけがえのない大きなものを失い、心に空いた大きな穴をどう頑張っても埋めることができなかった。

 そういえば母が亡くなったときに、姉から言われたことがある。
「何があっても自分を責めちゃダメだよ。反省はしても自分を傷つけたりはゼッタイにしないこと!」
 その事を思い出した翠花は、自分の事を責めないよう精一杯努力した。
 最後に会った時に姉に怒ってしまったこと、メールの返事をおざなりにして伝えられたはずの言葉を姉に伝えなかったこと、もうじき訪れる姉の誕生日に欲しいプレゼントを聞いていなかったこと……他にも気になる事は山ほどあった。

 翠花はひたすら後悔した。でも自分を責めないよう、唇を噛み締めて、自責の念にじっと耐えることにした。

 

 

 

 

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 二月になり、翠花はようやく立ち上がった。
 翠花を助けてくれたのは音楽の力だった。

 励まし続けてくれたバンド仲間のおかげもあって、翠花はやっぱり自分は百合ヶ丘女学院を受験しようという気分になった。
 既に願書は出してあるし、他の高校は滑り止めしか受験していない。ここで後に引くよりは、このまま前に進んだ方がいいと考えた。

 七葉凜梨果からは、姉の代わりに毎日日記のような報告が送られてきた。
『海松(みる)お姉さまのレギオン『グランツェンダー・グラナート』は、わたしがなんとしても守ってみせるからね』
『今日は新生グランツェンダー・グラナートに三人目のメンバーが加入してくれたの。西九条歩穂(にしくじょうあゆほ)さんといって、ウチにとって、かけがえのない存在になってくれる子よ』

 翠花もポツポツと返事をしはじめた。(お姉ちゃんの大切なものを守ってくれてありがとうございます…)(翠花はやっぱり百合ヶ丘女学院を受験します)(だってお姉ちゃんの妹だもの!)(トレーニングも再開しました。翠花、ガンガン頑張ります!)
 気がつくと、七葉凜梨果とは一本の糸のようなもので繋がっていた。

 これまでなんとなく毛嫌いしていた相手だが、凜梨果からのメールによって彼女が姉を思う気持ちは自分と同じぐらい強いものだと知ることが出来た。
 姉が最後に七葉凜梨果との縁を結んでくれたのかもしれない。翠花はそう考えた。

(きっと、このまま百合ヶ丘女学院に入学したら、七葉凜梨果とシュッツエンゲルの誓いを結ぶんだろうなぁ)
 なんとなくぼんやりと考えながら、翠花は入学試験を受けるために電車を乗り継いでゆく。
 目指す場所は、憧れの百合ヶ丘女学院だった。

 

 

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 入学試験当日。
 翠花は百合ヶ丘女学院の正門前で、七葉凜梨果と初めての遭遇をはたした。
 凜梨果は、翠花が来るのをずっと門の外で待っていたらしい。

 写真では見た事があるが、実際の凜梨果は想像していたよりも静かで小柄な人物だった。
 佇まいには陰が濃かったが、表情には決意と希望が満ち溢れている。

「ごきげんよう。いよいよこの日が来たのね」
 七葉凜梨果は姉の海松とはずいぶん雰囲気が違う、翠花の印象はそうだった。

 凜梨果は姉が擬似姉妹の契りを結ぶくらい惚れ込んだ相手だから、きっと姉と似たような雰囲気を持っているのではないかと想像していた。けれど実際にはタイプがまるで違うように見えた。姉はこの子のどこを気に入ったのだろう。

「七葉凜梨果さん。はじめまして。翠花、ようやくここまで来ましたよ」
 翠花は元気に挨拶した。

「貴女の努力はお姉さまから聞いていたわ…」
 凜梨果は少し表情を硬くした。
「翠花も、凜梨果さんのことはお姉ちゃんからうかがっていました」

「そう、お互い様なのね。翠花、貴女なら百合ヶ丘にも合格できるわ。だって海松(みる)お姉さまの妹だもの。だから、わたしはぜんぜん心配してないの。春にはこの桜の下で待っているからね。四月になったら、わたしと一緒に海松お姉さまの残したレギオンを立て直しましょう」
「はい! 翠花、ガンガン頑張ります!」
 凜梨果の激励に翠花は力一杯返事をして、しっかりとした握手をかわした。

 

 このとき、ひとつだけ気になったことがある。
「ちょっと失礼。あんまり気負いすぎない方がいいッスよ」
 気合十分で試験を受けようとした翠花の後ろから、そう言って隣を通り抜けていった生徒がいた。

 彼女が何かをしたのかどうかはわからない。ひょっとしたら何もなかったのかもしれない。

 ただ、翠花はその後の百合ヶ丘女学院高等部の入学試験で思うように力が出せなかった。
 ミスを取り戻そうとして120%の力で頑張ろうとするが、体調が悪いのかやはり八割ぐらいの力しか出せない。

 焦れば焦るほど深みに嵌まり、気合ばかりが空回りする悪循環を引き起こしてしまった。

 その結果、五島翠花は百合ヶ丘女学院に不合格になった――。

 

 

 

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 桜の花が咲き誇る三月。
 翠花は滑り止め高校の入学手続きを済ませてきた。

「翠花にはここに残ってもらってよかったよ」
 そういって、翠花の父は年齢よりも老けて見える顔に引きつった笑みを浮かべていた。
 父の胸中はわからない。心の底から喜んでいるのかもしれないし、姉の意思をついでリリィとして成功して欲しい気持ちも多少はあったのかも知れない。

 落ちてしまった以上、翠花はなにも言えず、ただ後ろめたい気持ちで一杯だった。
(なんで、どうして落ちちゃったの?)
 翠花には落第した理由がまるでわからなかった。
 スキラー数値は百合ヶ丘女学園でも十分合格レベルのはずだ。

 学力はもちろん、格闘や射撃だって、並以上のモノは持っていたはずなのに。
 何か、ちょっとした事がキッカケで全てが崩れてしまった。そうとしか言いようがない。
 ただ、なぜ最初のミスをしてしまったのか、その理由が皆目見当つかないのだ。

 七葉凜梨果からはこう連絡があった。
「百合ヶ丘女学院には学外生徒への学外特別履修制度があるわ。特別履修生になってウチへいらっしゃい」
 不合格通知には、翠花の評価と共に特別履修制度への申し込み用紙が同封されていた。


 だが、翠花は迷った。
 もしこの履修制度に応募した場合、自分は落ちこぼれの不合格者として百合ヶ丘女学院の門をくぐる事になってしまう。

 百合ヶ丘女学院に行けば同じ日に試験を受けて合格になった一年生がたくさんいる。
 二学年、三学年の上級生には、姉を知っている生徒もたくさんいるに違いない。姉の知りあいからはいったいどんな目で見られるのだろう。

 翠花は悩んだ。
 姉ならこんなときなんて言うだろうか。最終的にはそう考えて結論を出す事にした。

 答えはひとつだった。
『自分の行きたい道を進みなさい』
 姉の海松なら絶対にそう言う。姉は自己否定する事を何より嫌う人だ。だから翠花のする事を否定したことが一度もない。
 そんな姉の妹として育ってきたのだから、きっと翠花はどんな状況であっても前に進むしかないのだ。

「翠花は、お姉ちゃんの居た百合ヶ丘にずっと行きたかったんだもん。どんな困難な状況が待ち受けていようと、絶対に負けないよ」
 翠花は履修制度の応募用紙に必要事項を記入すると、渋る父親を説き伏せて保護者の許可を取り付けた。
 四月からは地元の学校に通いながら、週に三日間、毎回二時間をかけて百合ヶ丘女学院に通うことになる。

「お姉ちゃん、ちゃんと見ててね。翠花はお姉ちゃんの妹なんだから!」
 翠花は拳を高く上げると、お気に入りのギターを持っていつものように家を飛び出していった。

 

 

 


 

 

 

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■使用CHARMおよびサポートデバイス

 翠花は、スタイルアルムマンテルから伸びる四つのアームと二本の生身の腕。加えて、RDL(リュストゥングル・デス・リヒツ)が放つ四本の光の槍によって、『十腕形』によるアサルト攻撃が可能です。

 

BCC-L5 シュティグマータ
 ダインスレイフと同じ砲塔を持つ高出力のブラスターと、オートロックオンシステムを兼ね備えた自動小銃、伸縮自在のブレードの3つがセットになったブレード可動式銃剣です

 

・MSG-MW18 フリースタイルバズーカ
 発射する角度が調整可能な大口径ビームバズーカです。

 対空射撃や長距離砲撃に向いており、携行型兵器としてはトップクラスの砲撃力を誇ります。

 翠花の場合は、マギを液体化して高圧縮した弾丸を撃ち出します。

 

・BC-BP2 RDL(リュストゥングル・デス・リヒツ)
 光の槍を鎧のようにまとって進むホバーユニットです。高速移動しながら敵を引き裂く事が可能ですが、ホバーユニットとしての稼働時間には制限があります。


・スタイルアルムマンテル(アーム付マント)
 四本のハードポイントにマギで動くアームを取り付けられるサポートデバイスです。

 本来はリリィひとりにつきCHARMはひとつまでしか使えませんが、スタイルアルムマンテルにマギをストックしてCHARMをスタンバイ状態にしておく事ができます。

 使うCHARMを瞬時に切り替えたり、通常兵器を連続して使うことが可能になります。

 

 

 

 

 

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■リキッドストリーム

 マギを液体に変えて操る能力です。圧縮すれば弾丸にもなりますし、研磨剤を混ぜたウォーターカッターとして用いればダイヤモンドを切断するほどの鋭さにもなります。
 また、不純物を混ぜることにより効率的に科学反応を引き起こして、理科の実験のような様々な状態変化を起こす事ができる万能型のレアスキルです。

 大量のマギがあれば鉄砲水や山津波クラスの大規模攻撃もできますが、リリィ個人の魔力ではそこまでのマギを一度に液体化する事は不可能と言えます。

 また翠花が操れるのはマギを変化させた水だけなので、雨が降っているときは機能が低下してしまいます。

 

 

 

 

 

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 現在のポジションは主にバックゾーン。
 役割はフォアストッパー[フォーア・シュトッペリン]

 通常は味方の援護射撃をしつつ、敵が陣形内に侵入した場合に前進してこれを防ぎ、バックゾーンの手前で食い止めるのが役目になります。

 

 五島翠花は全ての能力が平均点を上回るかわりに、特長がないリリィです。
 そのため個人では優秀ですが、レギオン戦術においては適性にあったポジションが存在しないのが難点と言えます。

 

 

 


 

 

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